ここ数年、決済サービス銘柄が絶好調なので決済サービス銘柄を比べてみることにしました。
決済サービス銘柄のいいところはネットワーク効果がとても大きいので他の銘柄が参入できたとしてもシェアをたいして奪えない。シェアを奪うためにはこれまでとはまったく違うサービスで勝負しないといけないというところではないでしょうか。
他には決済サービスはあくまで決済すると収益になりますから、不景気でも人々は生活必需品を買うために決済をしますので、リーマンショックのような金融危機が起こっても銀行と比べると影響は小さいとされています。
比較する銘柄
- ビザ【V】
- マスターカード【MA】
- ペイパル【PYPL】
- スクエア【SQ】
今回はこの4銘柄を比較します。
*VとMAのチャートは5年チャートでPYPLとSQは上場した2015年からのチャートです。株価などのデータは2019年3月時点でのものです。
基本情報
ビザ【V】
株価:149.47
PER:32.15
配当利回り:0.68%
時価総額:3289億ドル
売上:206億ドル(2018年)
株価は5年で約3倍になっています。
ゆっくりですがずっと株価が上がり続けていますので、大きく下落したら投資しようと思っているとなかなか投資することができません。
クレジットカードやデビットカードなどを合わせたカード決済のシェアではビザが第2位でシェアは32%です。(2015年)
ビザは世界で一番、使用できる店舗(オンライン含め)が多いですから、店舗(オンライン含め)が世界中で増え続けるかぎりはネットワーク効果で売上を伸ばすと思います。
クレジットカードに変わる次世代決済システムができなければの話ですけどね。
マスターカード【MA】
株価:227.25
PER:41.16
配当利回り:0.59%
時価総額:2331.4億ドル
売上:149億ドル(2018年)
マスターカードはビザと同じく株価は右肩上がりです。
しかし、キャピタルゲインではビザを上回ります。
クレジットカードやデビットカードなどを合わせたカード決済のシェアではマスターカードが第3位でシェアは20%です。(2015年)
ペイパル【PYPL】
株価:98.80
PER:57.22
配当利回り:なし
時価総額:1159億ドル
売上:154億ドル(2018年)
株価は5年で3倍近くまでに上昇しています。
こうやって比較してみて初めて知ったのですがペイパルの売上はマスターカードより上だったんですね。
ペイパルの強みは、米国は日本以上に信頼できないECサイトが多いのですがオンライン決済でクレジットカード情報を有害なサイトに渡す必要がなく、商品がユーザーに届いてからお金がペイパルを通してECサイトに支払われるので商品が届かないのにお金を支払うということがありません。
他にもメールアドレスだけで海外送金ができてしかもコストが安いといった強みがあります。
ペイパルの企業ビジョンは「通貨を政府から解放する」です。
ピーター・ティールは社員に向かって
僕らは偉大なゴールをめざす道に立っている。ペイパルに対する需要は桁外れだ。この世界のすべての人間が支払い、取引し、生きるためにカネを必要としている。紙幣や硬貨は時代遅れであるだけじゃなく、不便な支払い方法だ。落とすことも、なくなることも、盗まれることもある。21世紀の人間には、どこにいても携帯端末やインターネットで手続きできる、快適で安全なカネが必要なんだ
『ピーター・ティール世界を手にした「反逆の起業家」の野望』より引用
と語ったようです。
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「通貨を政府から解放する」となると次は仮想通貨・暗号通貨をペイパルが発行するのかな?
それをドルに変わる基軸通貨にすることができれば、トルコやベネズエラのように政治に左右されない(国家の影響を受けない)リアルでもオンラインでも使用できる安全通貨としてペイパルが世界の通貨を独占できるかもしれませんね。
スクエア【SQ】
株価:77.46
PER:N/A
配当利回り:なし
時価総額:325億ドル
売上:33億ドル(2018年)
店舗決済の新しい形を生み出したスクエアですが株価は1年間で3倍以上にまで上昇しています。
スマホやタブレットのイヤホンジャックにカードリーダーを装着することでスマホをPOSレジにすることができ、そのまま売上や在庫管理の他にも顧客管理やアナリティクスをすることができるなどとても便利そうです。
2018年10月にはSquare Terminalという新しい端末を発売しました。
キャピタルゲインを比較
青:SQ 水:V 緑:MA 桃:PYPL
スクエアとペイパルが上場した2015年〜2019年3月までの比較です。
V:+85.49%
MA:+129.71%
PYPL:+173%
SQ:+492.65%
スクエアがダントツですが、まだ新しい企業で乗りに乗っているのでこの結果はしかたありません。
とは言っても他の3銘柄も大きく株価は上昇しています。
取扱高を比較
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』の著者シバタナオキさんによるとフィンテックビジネスでは
売上収益=取扱高×手数料(%)
という公式が成り立ち、取扱高(フロー)がとても大事だそうです。
ビザとマスターカードの取扱高が大きすぎてペイパルとスクエアが気の毒なので次は成長率で比較します。
2017年のビザの成長率が急伸していますが、おそらく2016年の6月にVISAヨーロッパの買収が完了した影響です。
マスターカードとペイパルは成長を加速させています。
単純に売上÷取扱高で計算して手数料を調べてみたのですが、ペイパルとスクエアの手数料が高いことがわかります。
*スクエアはPOS端末を多く販売していることからこの計算式で比較すると有利になります。
ペイパルがマスターカードより取扱高がかなり低いにも関わらず売上でマスターカードを上回っている理由がわかりましたね。
グラフでは見ずらいので数字で見てみると、2018年はスクエアの手数料がやけに伸びています。
これがPOS端末がよく売れているからだとすると2019年の取扱高は楽しみですね。
この4銘柄の中で手数料が増加傾向にあるのはマスターカードだけです。
私の考え
『ピーター・ティール世界を手にした「反逆の起業家」の野望』によるとペイパルはペイパルに紐付けされたクレジットカードによる取引では、ビザとマスターカードに1回当たり2%のマージンを払っていました。
現在、爆発的に普及しているApple Payも結局はクレジットカードを紐付けして決済していることからビザとマスターカードのビジネスは少なくともあと数年は安泰だと思います。
ただ、ペイパルの取扱高の成長率と手数料の高さをみると、ペイパルはビザとマスターカードとPERで比べるとそこまで大きな差はないのでペイパルへの投資は今からでも高いリターンを生みそうな気もします。ここ3年間は株主還元として自社株買をしているので株主還元にも今後は期待できそうです。AmazonがAmazonペイという似たようなサービスを発表しちゃいましたがペイパルはQ3/2018でウォルマートとの提携を発表しました。
スクエアはPERが高すぎて判断は難しいですね。
とりあえず、4銘柄の中で保有していて1番安心できそうなのはビザですね。
取扱高でダントツのビザの牙城を崩すのは相当むずかしいと思います。
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